清水和夫先端技術インタビュー 〜Volks Wagen 2007 IAA〜Vol.2



2007年IAA(フランクフルトモーターショー)においてモータージャーナリスト清水和夫がフォルクスワーゲンの先進技術ディレクターのDr.Wolfgang Steigerにインタビューを行った。ディーゼル,ハイブリッドから新燃料、はたまた最新内燃機関の話まで,シリーズ連載中!
第2弾は<電気自動車とハイブリッド>。
清水和夫(以下S):アメリカでは来年よりゼロ・エミッション法が施行されますね。例えばホンダは48台のEVの販売を割当てられていますが、GMやトヨタは過去の実績もあり、今回は割当てられていません。VWの場合はいかがですか?
Dr.Wolfgang Steiger(以下VW):義務づけられるかどうかはカリフォルニアでの総販売量によって決まります。現在弊社は割当られていませんが、2015年には義務付けられる予定です。
S:今回の目玉であるVWのコンパクトカー「Up」はアメリカでEV(電気自動車)として発売されると聞いています。
VW:はい。VWはカリフォルニアで行われている燃料電池自動車のパートナーシップに加盟しているので、燃料電池自動車を数種類走らせています。将来的には燃料電池車だけでなく、EVの可能性を模索してます。今後10年のうちにEV車を市場に出すことは当然のことと考えています。以前にも作りましたが、バッテリーの容量不足のため、成功しませんでした。需要に答えられるだけのバッテリーに至っていなかったのです。この経験から我々はやや慎重ですが「new small family」のような小型車には可能性があると思います。数年のうちに常識的になるでしょう。顧客の求める声に答えられる第二世代のバッテリー技術が生まれるはずです。
S:それが「Up」につながるのですね。ところでハイブリッドはいかがですか?
VW:そうです。ハイブリッドは不可欠な技術ですね。しかしいくつかの段階を踏まなければなりません。まずはシステムの小型化です。さらに、ストップ&スタート機構や、回生ブレーキシステム、モーターアシスト機構も必要です。第二段階ではもっとハイプリッド化を進めますが、そこで至難なのは、完全なパワートレーンが2つ必要なことです。内燃エンジンとDSG(6〜8速ギアのトランスミッション)、加えて電気モーターもしっかりと開発していかなければなりません。これらの開発費用は膨大で、顧客メリットに比較して考えると大量生産は不可能です。
S:キーポイントは優れたバッテリーですね。
VW:そうです。今後はバッテリーそのものの開発に焦点を合わせて展開すべきでしょうね。
S:シュタイガーさんは、以前に「1.4TSI」のスーパーチャージの代わりに小さなモーターをつけてマイルドハイブリッドを発表されていましたが?
VW:つまり最も簡単なハイブリッド化ですね。このシステムならかなり低コストで生産できるものです。
S:ところで、メルセデスやBMWは、アイドルストップのオルタネーター(発電機)をマイクロハイブリッドと呼んでますが、VWの定義はどうですか?
VW:いや、あれはハイブリッドとは呼べませんね。エンジンの効率を最大にするための道具を加えているだけです。エンジンの能力を発揮するようにサポートしているだけで、別個のパワートレーンの源を開発したわけではありません。従来の燃焼エンジンに多少の電力サポ−トを加えたといった程度です。本当のハイブリッドではないですね。
S:本格的なシステムとしては_
VW:やや大きめの電気モーターを搭載したスタータージェネレータタイプでしょうね。私はスターターとジェネレータを併用するモーターがクランクシャフトに取り付けたのものが今後10年から15年の間にほぼすべてのエンジン(ガソリンでもディーゼルでも)に普及すると思ってます。
S:フライホイールとスターター・モーターとオルタネーターがなくなるのですね。つまり電気モーターが台頭するということですね。これが新しいハイブリッドシステムの定義ですね。
VW:そうです。弊社にはパラレルハイブリッド技術の長い伝統がありますから、そこから発展させて、電気モーターをトランスミッションや内燃エンジンに組み込んでいく努力をしています。
S:ハイブリッドのコンセプトカーにつけられている名前のハイの部分が「hy」ではなく「high」と綴られていますが、何か意味があるのですか?
VW:今のところ研究開発上の名前です。製造段階でこの名前をそのまま使うかどうかは判りません。どうしてでしょうね。多分「high」は高いという意味でプラスのイメージがあるからですかね。Highly motivatedとかhigh benefit、 high customer benefitとか。そんな含蓄を持たせているんだと思います。

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