清水和夫先端技術インタビュー 〜Volks Wagen 2007 IAA〜Vol.4



2007年IAA(フランクフルトモーターショー)においてモータージャーナリスト清水和夫がフォルクスワーゲンの先進技術ディレクターのDr.Wolfgang Steigerにインタビューを行った。ディーゼル,ハイブリッドから新燃料、はたまた最新内燃機関の話まで,シリーズ最終章は<究極のガソリンエンジンHCCI>編。
清水和夫(以下S):最後の質問となりますが、CCS(Combined Combustion System)はいつごろ実用化しますか?また、ガソリンエンジンのHCCIシステムに関するお考えはいかがですか?
Dr.Wolfgang Steiger(以下VW):実はショー会場にあるひとつのエンジンを展示してます。「GCI」(gasoline compression ignition)と呼ばれるもので、ガソリンの均質自己着火です
S:自己着火ですか?
VW:はい。いわゆるHCCIです。HCCIモードは部分負荷で作動します。HCCI走行の域を超えると三元触媒のモードに切り替わります。もうすでに走らせていて、部分負荷で燃費が非常に良いことが判っています。ポート噴射に比べて15%も燃費が改善され、直噴型の自然吸気エンジンに比較しても、8%前後も燃費を抑えることができます。
S:まったく普通の標準ガソリン燃料でも使えるのですか?
VW:そうですね。燃料は普通のもの。エンジン本体にはアウディの可変バルブリフト機構を設けてます。ハイブリッドのサポートも必要ないのです。
S:ではどうやって高圧縮にするのですか?
VW:ターボの制御で自己着火させます。
S:このエンジンにはスパークプラグが付いていますか?時々オートマチックになるということですか?つまりHCCIの領域ではどのくらい走れますか?
VW:一応プラグはあります。自己着火できるのは、部分負荷(パーシャルロード)だけです。正味平均有効圧(Pme)で6〜7バールで、燃焼が安定した状態であればスピードは時速120kmまで出せます。またHCCIモードで稼動する自然吸気エンジンでもあります。
S:自然吸気なのですか? 本当に?
VW:まさにそこが出発点だったのです。可能なのですね。6バールまでは問題ありません。弊社の1.6Lの自然吸気エンジンもHCCIエンジンにしてみました。なかなかの走りですよ。これまでと同じ技術とシステムを利用して、そこに2本のカムシャフトさえあればできるのです。あとはエレクトロニクスが支えています。極めてシンプルですね。
S:圧縮比はどのくらいですか?
VW:標準的な12くらいの圧縮比です。
S:エンジン回転は?
VW:3500〜4000rpmまで。アイドリング状態でもHCCIモードで大丈夫です。
S:メリットはどこにありますか?
VW:後処理が不必要で、NOxが燃焼で抑えられます。燃費改善を考えると、NOxストレージ触媒と組み合わせるリーンバーンより、むしろ部分的な均質チャージ圧縮 着火によるターボチャージの小型エンジンを作るほうがずっと簡単です。
S:CO2排出量はどのくらいですか? 120g以下ですか?
VW:最新のTSI技術の数々によって、燃料消費は約7%減少しています。これは約10gの節約になります。
S:ということは、排ガスはカリフォルニアの規制に適合するわけですね。
VW:問題ありません。ユーロ6がクリアできますから。
S:貴社の強力な武器ですね。
VW:そうですね。
S:まとめるとディーゼルのHCCIがCCSでガソリンのHCCIがGCIなのですね。
VW:そうです。現在、第二世代のディーゼル用CCS燃料を現在開発しているところです。あらためて判ったのは、燃料のスペックを変えることによってCCSとの相乗効果が高いことです。新しい燃料によって走行がずっと良くなり,燃焼制御もしやすくなります。
S:それではGCIのほうがもっと早く出てくるということですか?
VW:可能性は充分あります。新しい燃料に頼らないものですからね。CCS発売までは準備期間がありますが、2015年頃だと思います。

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