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m21コラム 薮下正三「燃料の給油間違い」

20090114

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         JAFデータから見た安全運転管理術
      ~セルフ式スタンドで起きる「燃料の給油間違い」~

1.ガソリンと軽油の給油間違い!?
セルフ式スタンドは、1998年に改正された消防法によって、それまでの危険物の取扱いに関する規制が緩和され、「顧客が自ら給油等をすることができる給油取扱所」として登場。それ以後セルフ式スタンドは、昨今の原油価格の高騰なども相まって、全国で4,900店舗を数えるまでに至っており、今後ますます増加する傾向にあります。
このようなセルフ式スタンドは、従来型の有人サービス式スタンドと比べ、スタンド要員の省力化など人件費の削減が図れることから利用者からは、「価格が安い」、「気兼ねなく利用できる」と人気があるようです。しかし、あくまで「危険物を取扱っている施設」という認識がないと思わぬ大事故に繋がる恐れもあるのです。
セルフ式スタンドで発生するトラブルには、静電気による発火や定められた場所以外での喫煙。給油口からの燃料の吹き零れやキャップの締忘れ。エンジンを掛けたままの給油に伴うトラブル。そして施設内で起きる交通事故などが挙げられます。
その中でも特に多いのが、ガソリン車に軽油を入れたり、ディーゼル車にガソリンを入れたりするという「燃料の給油間違い」。中にはガソリン車に灯油を入れてしまうケースもあります。実際にJAFロードサービス隊が昨年の年末年始を挟む2ヶ月間(平成19年12月1日から平成20年1月31日)に全国で出動した救援件数(49万2,393件)のうち、「燃料の給油間違い」を調べると、337件にも上りました。
主な概要は、別図1~2グラフの通りです。都道府県別で多かったのは、福岡県の51件、次いで愛知県の23件、そして京都府の15件、埼玉県・神奈川県の14件へと続きます。その一方、給油間違いの原因別では「いつも乗っているクルマの燃料と思い込んでいた(51件)」、「うっかり・ぼんやりしていた(31件)」、「初めてセルフ式スタンドを利用したのでよく分からなかった(23件)」などが上位を占めています。笑えないミスの中には、「軽自動車は軽油を入れるものだと思っていた(11件)」、「とにかく一番安い燃料を選んだら、それが軽油だった(3件)」など、素人ならでわのミスも発生しています。
そこで今回は、給油間違いを起こすとクルマはいったいどのようになるのか?過去に㈱自研センターが行なったテストを参考に、その傾向と対策を考えて見たいと思います。

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2.給油間違いによる影響を検証
「ガソリン車に軽油を入れた場合」。このテストでは、普通乗用車(トヨタカローラSEサルーン)を使用。まず、タンク内の燃料をすべて抜き取り、ガソリン6㍑を給油後、軽油が4㍑になるまで段階的に混合比を高めて行きます。クルマはシャシダイナモというテスト用のローラ上を時速50Kmで走行させています。まず、①軽油の割合を30%にすると、アイドリングは維持できるもののエンジン回転数がバラ付き、加速時にノッキングするようになりました。次に②軽油の割合を35%にすると、ここでもアイドリングは維持できるものの、排気管から白煙が噴出し、アクセルを踏み込むと少し遅れて加速するようになりました。さらに③軽油の割合を40%にすると、ついにアイドリングも維持できず、エンジンストップしてしまいました。
このテストから「ガソリン車に軽油を入れる」と、給油量にもよりますがエンジン出力が低下し、排気管から白煙を噴出し、エンジンストップすることが分かりました。
テスト終了後、エンジン内部を調べたところ、エンジン本体には大きなダメージは無く、燃焼室内にカーボンが付着する程度でした。これは比較的ダメージが少ない早い段階でエンジンストップしてしまった結果だと思われます。しかし、燃料の給油間違いを犯すと、自動車整備工場などに入庫し、洗浄作業などの整備をしなければならず、そのまま乗り続けることは不可能になるようです。
「ディーゼル車にガソリンを入れた場合」。このテストでは、RVタイプの4WD(三菱パジェロXR)を使用。エンジン暖気後、同じく軽油75%対ガソリン25%の割合から、段階的にガソリンを10%ずつ給油する方法によって、エンジン及び噴射ポンプにどのような影響が生じるのかを調べています。まず、①ガソリンの割合が25%では、エンジン始動性・アイドリング性などに異常は見られず、排気ガスがやや白くなる程度でした。次に②ガソリンの割合を45%~65%と段階的に引き上げても、エンジン始動性・アイドリング性などには異常は見られず、排気ガスが無色になる程度でした。ところが③ガソリンの割合が85%を超えた付近から、エンジン始動性が悪くなり、アイドリングもバラ付き始めました。そして時間の経過とともに“ハンチング”も見られ、ついにエンジンストップしてしまいました。
このテストから「ディーゼル車にガソリンを入れる」と、ガソリンにはディーゼル車に必要な潤滑性が無いことから、エンジン不調を誘発したり、燃料噴射ポンプ系にダメージを与えることが分かりました。
また、最近のクルマには、ディーゼル車のみならず、ガソリン車にも燃料噴射システムが採用されたり、排出ガス浄化システムや触媒なども採用されています。エンジン本体よりも、それら周辺機器へのダメージや復元に要する期間や費用の方が負担増になることが考えられます。いずれにしても燃料の給油間違いは激しい症状を伴うので、それに気付けば早い段階でエンジンストップし、速やかにJAFなどへの救援依頼を求めることが賢明な手段といえそうです。
ディーゼル車の比率が高い欧州でも、こうした燃料の給油間違いは多いようです。情報によると英国などでは、年間10万件の給油間違いが発生しているとのことです。
このようなトラブルを防ぐため、欧州の自動車メーカーでは、給油間違いを防ぐデバイスを開発し、各社のティーゼル仕様車を中心に採用しています。このデバイスは比較的、簡単な仕組みで、給油口にシャッターが付いていて、ガソリンのノズルとディーゼルのノズルの長さや形状の違いを利用し、ガソリンのノズルが挿入されようとするとシャッターが閉まり、給油で出来なくしてしまうというものです。(参考写真2)
また、輸入車のディーゼル仕様の中には、給油間違いを防ぐため“軽油”という大きな警告シールが貼付けられているものもあります。日本国内においても、セルフ式スタンドの増加や環境対策に有利なディーゼル車の普及が見込まれることから、今からでも給油間違いを防ぐためのデバイスを講じる必要があるのではないでしょうか。


(写真)静電気防止のタッチパネル(手形)とセルフ式スタンドの給油ノズル、
右から「軽油(緑色)」、中央「ハイオク(黄色)」、左「レギュラー(赤色)」で表示されている。
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                (参考写真1)拡販が続く、セルフ式スタンドの店舗(例)

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                   (参考写真2)欧州車に装備されている給油間違い防止シャッター(例)
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