西村直人「心のゆとりを生み出すETC」



西村直人
この春、大型自動車の免許を取得したので、運送業を営む友人に無理をいって高速道路を走らせてもらった。「交通コメンテーターとしては、日本の物流を担う大型トラックも勉強せねば!」なんて大口たたいていたわりには、ボディの大きさに圧倒され、車庫から出た瞬間から心臓ばくばく。正直、久々にビビりまくり。
早速、中央自動車道の本線に合流。早朝、4時台ということもあってクルマの台数は少なめ。また休日(正確にはお盆ちょっと前)ということもあり、バイクの集団もちらほら。それにしてもこの時間帯の高速道路(下り車線限定!)って、まるで飛行機の滑走路みたいに気持ちいい。それこそ、前も後ろもガ~ラガラなんて状況になることも。
でも今回、改めて大型車両で高速道路を走ってみると、新たな発見があっておもしろかった。その筆頭がETC。ゲートで一時停止しないことがこんなにもありがたいとは!
試乗した大型トラック(平成16年式M社製)は荷台に荷物(スチール製品)を満載した、いわゆるフル積載の状態。GVW(車両総重量)は約25tとヘビー級だ。いくら新世代ディーゼルエンジンがハイパワー(試乗車は380PS×7速セミAT)だといっても、ここまで重たいと発進加速はどうしたってモタついてしまう。1.5tクラスの乗用車や、せいぜい2.0t程度しかないミニバンたちとはワケが違う。物理的に遅いのだ。
でも、それがETCをとなると状況は一気に好転。20km/h以下という制限がつくにせよ、“動いている”状態からの加速となるわけで、勢いがついているだけにスムーズに本線へと合流することができる。停止からだど2速(1速はほとんど使わない)での発進となるが、ETCゲートを通過する場合は3速ホールドが可能になるのでパワーバンドを維持しやすいという利点もあった。
ちなみに大型車両のETC利用は、さまざまな相乗効果も生み出した。ETCが整備される以前の料金所では、真っ黒い排ガスを浴びたくないという心理が働いていたようで、トラックやバスの後ろに並ぶことを避ける車両が多かったが、導入後は乗用車が後ろにつく(写真参照)ことも珍しくないようだ。円滑な交通を促進(=渋滞を解消)するという意味でも大きな収穫だろう。
もちろんこれには、DPF(黒煙の元となるPMの除去フィルター)によるクリーンな排気ガスの効果も含まれているが、もう少し本質的なところを考えてみると「ゲート通過時の速度が同じなら、大型車両の後ろについてもいい」といった“心のゆとり”をもったドライバーが増えてきた、こう考えることもできると思う。
実際、試乗に同行してくれた友人(大型ドライバー歴11年)によると「以前は料金所手前で割り込まれ急ブレーキを踏むことが多かったけれど、ETCがスタートしてからはそれが激減した」という。料金所付近は接触事故の発生率が高いことで知られているけれど、こうした技術(今回はETC)によって減少するのであれば喜ばしいと思う。

西村直人氏 プロフィール
1972年1月東京生まれ
交通コメンテーター
クルマとバイク、異なる社会の架け橋となることが目標
得意分野は人間主体のITS
A.J.A.J会員
警視庁2輪指導員






