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西村直人「眼鏡を掛けたクルマたち」

20061102

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西村直人

 日本の高齢化社会はますます深刻化しています。今や国民に占める65才以上の割合は20.7%(05年比で83万人増加の2640万人)。これが75才以上となると1208万人、およそ国民の10人に1人の割合です(数値はいずれも06年9月17日発表。総務省より)。先進国の中でも最高水準の長寿国。なにはともあれ、長寿であることは誇りに思うわけですが、ふと、こんな考えが浮かびました。
 「クルマの運転と加齢の関係」。とりわけ、今回は年齢とともに落ちてくる“視力”に的を絞って考えてみることにします。 
 視力が落ちてくると、ほんとんどの人は眼鏡やコンタクトレンズでそれを補います。補正された視力によって、今まで見えなかった、または見にくい状況から解放されるわけです。ちなみに日本国内で4輪の普通免許を取得するには「視力が両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上であること又は一眼の視力が0.3に満たない者若しくは一眼が見えない者については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること」と示されています(警視庁の原文より)。アメリカやEU諸国と比べても高い視力が要求されています。
 ところで運転に不可欠な情報を得るためには五感をフル活用する必要がありますが、とりわけ“見る”という行為は非常に重要です。周囲にいるクルマの情報を捉える、自車のスピードや位置情報を掴むなど、じつに様々な情報を得るための入り口が“眼”の役割です。
人間の眼は2つですが、その数がもっと増えたらどうでしょう? まったくもってあり得ない話ですが、それがクルマの世界になると2つはおろか、3つや4つの眼という話が現実的なものとなります。
 万が一の衝突時の衝撃を軽減してくれる「プリクラッシュセーフティシステム」を機能させる入り口は、たくさんの眼からの情報です。レクサスLS460の場合、CMOSセンサーを用いた複眼式のステレオカメラ、ミリ波レーダーセンサー、近赤外線センサーと、前方には4つの眼を常に光らせています。それだけではありません。後続車からの追突に関してもミリ波レーダーセンサーを働かせ、ドライバーをムチ打ち症状を軽減してくれるのです。
 前後で合計5つの眼。それとドライバーの眼を掛け合わせた“7つの眼”を駆使することで自らを安全な方向に導くクルマ‥‥‥。長寿国には長寿国にふさわしいクルマの姿、進化系があるのではないでしょうか? 年齢とともに落ちてくる視力を技術がサポートしてくれる、そう最新のセーフティデバイスを備えたクルマは、“眼鏡を掛けたクルマ”なのかもしれません。

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西村直人氏 プロフィール

1972年1月東京生まれ
交通コメンテーター
クルマとバイク、異なる社会の架け橋となることが目標
得意分野は人間主体のITS
A.J.A.J会員
警視庁2輪指導員

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