佐藤久実「From EUROPE MINIがフルモデルチェンジした理由」



佐藤久実
パリサロンで、新型ミニクーパー&クーパーSがワールドプレミアとなりました。個人的にも好きなクルマなので興味深く、実車を見るのを楽しみにしていました。ところが、「えっ何が変わったの?」といいたくなるほど、「原寸大間違い探しゲーム」のような変わり映えしないルックスには驚きました。
しかも、現行MINIは2001年デビュー以来、毎年、全世界で順調に販売台数が伸びており、2005年には20万台を超えています。日本においても同様で、2002年の導入以来、毎年上り調子。まさにブランドの強さとBMWの技術力の高さを物語っています。
この人気絶頂の時期に、大して変わり映えのしないルックスのフルモデルチェンジをしたのが不思議でしたが、パリサロン後の国際試乗会でその謎が解けました。
一見変わらないけれど、実は全長が60mm長くなっています。そのうち38mmがフロントセクションに費やされていますが、これが今回のモデルチェンジのキモ。
その理由のひとつは、ボンネットに新型エンジンを収めるためのスペースが必要だったから。もちろん、新型の1.6リッター直噴ターボエンジンはBMW製。クライスラーから供給されていたエンジンを、一刻も早く自社製にしたかったというプライドもあったんでしょう。でも、プライド以上に、従来より環境性能に優れたエンジンであり、BMWグループ全体で排出ガスを減らすという狙いもあります。
そして、フロントセクションが長くなったもう一つの理由は、近い将来施行されるであろう、歩行者保護の法規の基準をクリアするためです。
要するに、ミニがフルモデルチェンジしたのは、安全・環境性能を高めるためだったのです。そのためにイギリスのアッセンブリー工場に20億ポンドの投資もしています。実は効率化が最大の狙いではないか、なんて声も聞こえますが、少なくとも、走って楽しいホットハッチでありながら、時代に即したユーザーベネフィットも最優先されているのですから、恐るべし、BMWです。

佐藤久実氏 プロフィール
レース経験を生かしドライビング・インストラクターとして活動
雑誌やCSでの新車インプレ、大学非常勤講師もこなす
スポーツカー好き
愛車はメルセデス・ベンツ CLS






