燃費のよいスバルなんて、諦めていたのに



ところで、欧州で話題となっている2008年の140g自主規制(日本車は輸入車なので、2009年)の実績が発表された。140gとは1Km走行した時に排出するCO2の量を示す規制で、日本のリッターあたりの走行距離に換算すると、ガソリン車では16.9Km/Lに相当し、ディーゼル車では18.9Km/Lに等しい。
さて、問題はスバルだ。同社の2007年欧州におけるメーカーの平均CO2排出量は欧州でビジネスする全自動車メーカー中、32番目の228.39 g/Km(10.36Km/L)となり、2006年度から比べると2.3%も悪くなった。ちなみにトップ3はフィアットの142.15 g/Km、プジョーの146.04 g/Km、ダイハツの146.90 g/Kmとコンパクトカーとディーゼルエンジンが功を奏している。トヨタはヤリス(日本名ビッツ)を沢山販売していおり、6番目で148.19 g/Km。ホンダは大きなSUVが売れ始め13番目で158.04 g/Kmとなっている。この数値を見るかぎりスバルの228g/Kmは危険水域。2008年度にディーゼルを沢山売ることが急務なのだ
スバルがディーゼルを開発する意志決定をしたのは竹中社長の時代である。当時竹中社長と五味専務はバッテリー駆動の技術にシフトしていたが、欧州からのつよいニーズもあり、水平対向ディーゼルの開発を決心した。何度か竹中社長からも直接ディーゼルの可能性について議論したことがあったが、私の考えは2010年以降はディーゼルが世界的にブレークすると、確信にも似た強い意見を述べていた。
当時はスバルがGMグループの一員であったが、GMグループの仲間である「いすゞ自動車」とも相談しがら、ボクサー・ディーゼルの開発を決断したのである。エンジンがユニークなので、キー・テクノロジーとなるコモンレールはボッシュではなく日本電装と共同開発することになった。開発するうちにボクサー・ディーゼルのポテンシャルに自信を深めて行く。というのは対抗するピストン同士はディーゼル特有の不快な振動を見事に打ち消しあい、世界で唯一、バランサーシャフトが不要で、世界で一番スムースな4気筒ディーゼル・エンジンが完成したのだ。
今年の1月にスペイン・マラガで欧州のメディア向けの試乗会が開催された。日頃厳しい欧州のメデイアもスバルのボクサーディーゼルには「コングラチュレーション(おめでとう)」と祝ったという。ボクサーディーゼルの完成度の高さにディーゼルの先駆者である欧州が驚いたそうだ。
燃費の良さは折り紙付きで、「燃費走行を意識するとフランクフルトからイタリヤのボローニャまで無給油で走れました。平均燃費でリッター当たり約19キロです」と嬉しそうにスバルのエンジニアは語っていたことが印象的であった。燃費の良いスバルなんて、あきらめていたのにね。 清水和夫






